理系になりたい!

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アカデミー賞の演技賞受賞作品の作品賞受賞率を調べてみた

■はじめに

 

アカデミー賞の演技賞受賞作品の作品賞受賞率を調べてみた。

正確に言うとアカデミー賞の演技賞受賞作品だけではなく候補作品も対象に含んでいる。

加えて、作品賞受賞作品だけでなく、監督賞受賞候補作品も含んでいます。

 

■動機

 

メリル・ストリープが『ペンタゴン・ペーパーズ』で主演女優賞候補となりました。

メリルが候補になることは、はほぼ毎年のことで全然珍しいことではない。

しかし、気になることがあった。

 

メリルの演技賞候補作品の作品賞候補は久しぶりらしいのである。

 

いつも高評価の作品を乱発しているメリル・ストリープだけれど、

該当作が作品賞の候補になったのは『愛と哀しみの果て』以来らしい。

 

これは結構意外だった。

 

俳優版で同程度の評価を得ているのはロバート・デニーロだと思うけれど、

『タクシー・ドライバー』も『レイジング・ブル』も作品賞候補になっている。

一方でメリル・ストリープは『フランス軍中尉の女』も『ソフィーの選択』も

作品賞候補にすらなっていない。

 

もしかして、男優と女優で出演作のアカデミー作品賞での評価にブレがあるのではと思い始めました。

 

■目的

 

ちなみに、2017年のアカデミー賞のテーマは女性。

ワインスタイの#MeToo問題で荒れるハリウッド。

さらに、問題はセクハラだけでなく、ハリウッドではスタッフ部門での女性の冷遇はひどいらしい。

確かに衣装部門を除いて、監督賞や撮影賞で女性がノミネートされるのは稀だ。

 

ただ、演技部門においては主演女優賞、主演男優賞ともに男女同数の枠が設けられてるので、

差別のようなものがないと思っていた。

ただ、演技賞対象作自体が作品賞が取れず作品評価が低いと言う傾向が明らかになれば、

演技賞部門でも女性の冷遇は続いているとわかるわけである。

 

■方法

 

それでは、主演女優賞作品と主演男優賞受賞作品の作品賞に絡んだ割合を調べてゆこうと思う。

まず、主演女優賞を以下の三つのセグメントに分けて集計する。

 

・作品賞受賞作品

・作品賞候補、監督賞候補作品

・なし

 

この区分けの意図は以下のとおり、

 

作品賞受賞→すごく良い作品

作品賞候補、監督賞受賞(候補)、外国語作品賞→良い作品

作品賞、監督賞に絡んでいない→凡作

 

このセグメントについては色々と意義があると予想されます。

もちろん、編集賞、撮影賞、脚本賞、脚色賞関連作品も良い作品のはずです。

もっと多次元な分析をしなければならないと思うのだけれど、

ただ、今回はサクッと結果を見てみたかったので、

上記の区分にしてみた。

 

■対象データ

 

1990年~2017年までのアカデミー賞演技賞受賞作品とした。

135作品

 

年代の区分については前処理の際に見知った名前の方が、

整理していて楽しいという理由だけなので、深い意味はありません。

本当はすべての年代を調査したいのだけれど、それはまた今度にしたい。

 

方法&データの取得基準からわかる通り、そこまできちんとした調査ではない。

 

■結果

 

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主演男優賞受賞に絡んだ作品で作品賞を受賞した作品が12%なのに対して、

主演女優賞関連作品については12%しかない。

また、主演男優賞に絡んだ作品で作品賞候補や監督賞候補になった作品が、

49%だったのに対して、主演女優賞作品においては29%しかない。

一方で主演男優賞に絡んだにも関わらず、主要部門を逃した作品が、

41%だったのに対し、主演女優賞に絡んだ作品で主要部門に

絡まなかった作品は63%に登る。

 

どの値も主演男優賞関連作品の方が、主演女優賞よりも

主要部門を受賞またはノミネートされる作品が多いと言うことを示している。

 

ちなみに、それぞれの標準誤差は以下の通りである。

 

作品賞受賞作については母数が少なすぎて誤差が大きすぎるるのであてにならないが、

その他の値は標準誤差が5%前後に止まっているので結果としては使えそうだ。

 

やはり主演女優賞関連作品の方が、作品賞や監督賞に絡む確率は少ないと言える。

 

■結論

 

期間を区切ったせいでデータも少なく、その他の部門について精査をしていないため、

この調査だけでは詳しいことは言えないかもしれない。

しかし、少なくとも主演女優賞関連作は作品賞・監督賞にノミネートされにくいことはわかった。

 

これが助演女優賞になるとどうなるのか?

(実は助演の方が女性は添え物「ヒロイン」としての立場が明確なため、

男性主義的なハリウッドでは受けがよく作品賞によくノミネートされているかも)

時代の変化によってどのような変化を遂げているか?

(やはり、時代が下るに従って女性差別的な傾向がなくなり、

女性映画の作品賞候補率が上がっているかもしれない)

なんてことも調べてみたい。

 

簡単な調査ではあったけれど、今年のアカデミー賞授賞式での女性の不満、

それを裏付けるようなデータが取れたので、

ある意味この調査も有意義だったのではと思っている。

 

以上